【ブログ】社会的擁護から考える「ポジティブな原体験」
先日、「社会的養護に関する座談会」に参加してきました。
「社会的擁護」というのは、保護者のない児童などに対して、公的責任で社会的に養育し保護することです。「子どもの最善の利益のために」と「社会全体で子どもを育む」を理念として行われています。
主催者の方から、東京都の里親制度の現状と課題について説明がありました。
事例として挙がったのが、里親として認定されるには「配偶者がいる」という要件があることです。
言い換えれば「父母の役目を果たす存在がいるかどうか」ということですが、これがネックになりやすいのです。
例えば、婚姻関係がなく事実婚という形でも上記の要件は考慮される反面、LGBTや単身世帯など、多様化する家庭環境や生き方に対応出来ていない点は、課題だと感じました。
児童擁護の問題は、子どもたちの最善の利益をどう実現するのかといった視点はもちろん、家族のあり方を考え、ダイバーシティを推進する点でも重要です。
丁寧に取り組み、課題を解決していきたいです。
座談会では、里子の皆さんからご自身の経験をお聞かせ頂きました。
グループワーク後の質疑応答で取り上げられた内容は、
・進路指導の窓口
・就活の選択肢
・どういったモチベーションで悩みを克服したか
といった未来への前向きなことが挙げられておりました。
具体的な事例はご本人のプライバシーを考慮し割愛しますが、養育過程において「これが上手にできた!」「ほめられた!」という、ポジティブな原体験 があることが子どもの未来を大きくはばたかせると感じました。
私は、幼少期になるべくたくさんの経験ができる環境を、親や周りの大人が整えてあげてほしいと主張してきました。
学校の勉強が不得意であっても、ボールを蹴ったり絵を描いたり、歌を歌ったり踊ったり、その子の個性や才能が反映される、子どもにとって興味を持てること、楽しいことが、必ず見つかるはずです。その要素を親や周りの大人が見極め、より才能が開花する道筋を整えてやるべきです。
現代においては、プログラミング教育、英会話、投資教育、消費者教育、主権者教育なども、実践的なスキルの習得とあわせて、子どもたちにポジティブな原体験を感じ取ってもらえるはずです。
そのためには、親や教師の存在だけではなく、愛情をもった、第三の大人たちの協力が不可欠です。
そこで、「高齢者クラウド」あるいは「民間企業クラウド」という形で、現役を引退された高齢者の皆さんや民間企業に勤務されている方々が、専門的なスキルを子どもたちに披露するような機会をつくり、マッチングする。そして、その段取りを東京都として後押ししていくのはどうでしょうか。
マッチングやシェアリングエコノミー、CtoC(Consumer To Consumer=個人間取引)という概念は、これまでの既成概念を大きく変えうるスキームである反面、適切な受給バランスを取りにくい、いわゆる「ニワトリタマゴ問題」や利用者間のトラブルなどが発生しやすいのも事実です。都が主導で進めていくことで、こうしたトラブルを回避しながら、新しい概念を社会に活かしていけるよう、引き続き考えていきたいと思います。
子ども達は、親を選ぶことができません。家庭の格差や経済の格差はあったとしても、教育の格差や才能開花の機会に格差があってはなりません。
ポジティブな原体験をきちんと平等に享受出来る社会、東京にしていきたいということ。
そして、それを担うのは私たち一人一人であること。
その思いの先に、具体的な政策や見直すべき制度設計があり、こうして紐解いていけば、「社会的養護に関する課題の解決」という大きなハードルを越えられるはずです。
これからもこういった機会を活用し、皆さんと積極的にコミュニケーションを取りながら、一歩ずつ、コツコツと成果を積み上げていきたい。そんなことを考える一日でした。